作品紹介
「画家の作品」 Op.56
Malířské studie, Op.56
作曲:1898~1899年
編成:piano 2 ms
献呈:A Madame Marie Panthès
初版:Fr.A. Urbánek, Praha, 1902 (U.12143, U.1243a)
初演:(不明)
晩年に書かれた、5曲からなる曲集。それぞれの曲は、絵画作品から着想を得て作曲されている。
この作品の成立の背景には、Fibichの造型美術や絵画美術に対する強い関心があった。実際、Fibichは数多くのギャラリーを訪れ、世界中の偉大な名匠達の作品を賞賛していたことが知られている。
この作品は、フランスの女流ピアニスト・Panthès に捧げられた。
Panthès は、Fibich の作品に対し、多大な敬意を払っていた。彼女は、Fibich に宛てたその書簡の中で「・・・私は全部チェコ作品で揃えたプログラムを演奏しようと思っています。それは、数多くのあなた(=Fibich)の“気分”を象徴するものでしょう。もし、私がこのシーズンに(演奏)旅行をすることが出来たら、プラハで弾きたいと思います。」(かなり意訳)と書いている。
ちなみにこの作品、Fibichの自筆譜は鉛筆で書かれたものであったが、アネシュカ[Anežka Schulzová]がそれを、インク書きで写譜している。
本曲集の内訳は、下記の通り:
曲目
- Lesní samota
Waldeinsamkeit
Forest Solitude
オランダの風景画家・Jacob van Ruysdael [1625-1682 (但し、1628-1682とする資料もある)]の作品 "The Hunt" による。
自筆譜には、"18 24/3 99" (1899年3月24日)の日付がある。Fibichの自筆譜は8ページ、Anežka の写譜は7ページに亘って、それぞれ書かれている。
参考までに、Jacob van Ruysdaelの作品を掲載しているサイトを以下に紹介。
- Spor masopustu s postem
Der Streit Karnevals mit den Fasten
The Strife between Shrovetide and Lent
フラマン人画家・Pieter Brueghel [1510-1570]の作品"The Fight Between Carnival and Lent"による。
(解説つきのもの)
参考までに、Pieter Brueghelの作品を掲載しているサイトを以下に紹介。
筆者は美術関係には疎いのであるが、この名前の画家を探すと、"Pieter Brueghel the Elder (1525-1569)" というのが出てきて、生没年が異なる(上記リンクは、こちらの方である)。そこで生没年が一致するものを探すと、"Hieronymus Cock (vers 1510 - 1570)"というのが出てきて、こちらは名前が違うらしい。というわけで、あまりよく分からなかった。もし、こちらの分野に詳しい方がこれを読まれていたら、是非ともご教示下さいm(_ _)m。
- Rej blažených
Reigen der Seligen
The Dance of the Blissful
イタリアの画家・Fra Giobvanni Angelico da Fiesole [1387-1455]("Fra Angelico" は「天使的な修道士」、 "da Fiesole" は「フィエーゾレの」の意を表す。本名は "Guido di Pietro Trosini" と言い、通常 "Fra Angelico" と呼ばれる。)のtriptych(三面鏡のように蝶番で繋いだ3枚続きの絵)「最後の審判」
(1)
(2)
による。
自筆譜は、20段の五線紙の片面に書かれており、"18 17/1 99" (1899年1月17日)の日付がある。(アネシュカの)写譜は2ページに亘っている。
- Io a Jupiter
Io und Jupiter
Io and Jupiter
Jupiter, Io は、それぞれローマ神話とギリシャ神話の登場人物(木星と、その衛星の名前、でもある)。
イタリアの画家・Antonio Allegri da Correggio [1494-1534]の作品による。
"Io a Jupiter" の絵と解説はこちら(タイトルが逆になっている)。
自筆譜は、長方形の12段の五線紙に4ページ((アネシュカが写し取った)コピーは、6ページ)に亘って書かれている。最初のページには 17/12, 最後のページには "18 21/12 98" (1898年12月21日)の日付が記されている。
尚、タイトルページには「1892年12月17日の思い出に」と書き記されている。
- Zahradní slavnost
Gesellschaft im Park
Garden Festivity
フランスの画家・Antonie Watteau [1684-1721]の作品に基づいている。
自筆譜は、出版社によって印刷されたものと異なっている。
印刷されたものは、5ページに7つの部分(この曲は7つの部分に分かれている)が書かれているが、
アネシュカが鉛筆で写譜したものは、12段の五線紙に6枚に亘り書かれている。
その他、絵画関連のリンク
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