チェコ語を Linux で扱う

Linuxでチェコ語文字を表示・入力する方法について紹介します。


私が使用したDebian GNU/Linux (3.0(woody)以降〜現在の最新は10(buster)) では、特に表示させるために設定が必要となったということはありませんでした。つまり、何もしなくても、FirefoxやemacsなどX上の主要なアプリケーションでチェコ語が表示できていました。
そこで、ここでは専ら「書く」方について、述べます。


注:新規インストールしたDebian GNU/Linux 10 (buster) 環境を元に記述しています。その他の環境とは異なる点があるかも知れません。

ここでは、Unicodeでの日本語・チェコ語混在テキストの編集について述べています。
嘗て、Linux 環境で Unicode utf-8 が主流となる前は、Unicode を扱えるテキストエディタは限られおり、このページでもそうしたアプリケーションの選択肢の一つとして emacs について特に言及していました。しかし近年、主要な Linux ディストリビューションでは Unicode utf-8 が標準となっており、大抵のテキストエディタで utf-8 での読み書きが出来るようになっています。

必要なもの

  1. X-window が使える Linux環境
  2. お好みのテキストエディタ(このページの作者は emacs を使用しています)
  3. チェコ語フォント
サーバ用の構成で環境構築していない限り、emacs 関連パッケージ以外は大概インストールされているでしょう。


入力に ibus-mozc を使う

ディストリビューションによってデフォルトの入力環境が異なる場合がありますが、 emacs や X上の他のアプリケーションでも差異なく日本語・チェコ語を含む多言語入力を扱いたい場合、 ibus-mozc はそれを満たす選択肢の一つになります(uimを使った入力環境の場合、emacs は他のアプリケーションと異なるキーマップでの入力を強いられますが、ibus-mozc にはその面倒がありません)。

ibusのインストールと設定

他の IME から ibus-mozc 乗り換える場合、インストールした上で切り替えます。まずはインストール。
# apt-get install ibus-mozc
次に、ime-config を起動して、IME を切り替えます。
$ im-config
im-config のメッセージに従い、ibus-mozc を選択するよう、設定を行います。
設定後、ibus が起動されている筈ですが、動いていない場合は下記のコマンドで再起動を試みます。(ibus の daemon はユーザ権限で動作し、 root 権限を必要としません)
$ ibus-daemon -rdx
ibus の設定を起動し、入力メソッドの設定します。
デスクトップ環境または Window manager の設定によっては、メニュー等から選択・起動出来る場合もありますが、もし見つからない場合は shell から下記のコマンドで起動することが出来ます。
$ ibus-setup
起動したら、「入力メソッド」タブの「追加」ボタンを押し、追加する言語名をクリックし、「追加」ボタンを押します。
追加したい言語が表示されている中にない場合(チェコ語はこれに該当します)は、枠の中の一番下にある「︙」をクリックすると、選択可能な全ての言語の一覧が表示されます。
また、入力言語の切り替えキーの設定は、「一般」タブで設定します。デフォルトは "Ctrl-space" です。
設定し終わったら、「閉じる」をクリックして「IBusの設定」を閉じます。

ibus上で「チェコ語→日本語」の切替時に起きる問題

ibus でチェコ語/日本語の切り替えて使うと、チェコ語から日本語への切り替えた際、日本語文字を入力出来るようにはなりますが、Y と Z が入れ替わったままになる他、その他の数字・記号等もチェコ語キーレイアウトのままになってしまいます。
ibus の不具合のように個人的には思いますが、これは以下に示す設定ファイルの編集で回避出来るようになります。
  1. 下記のファイルを、root 権限で開きます。
    /usr/share/ibus/component/mozc.xml
  2. 以下のように変更して保存します:
    変更前
    <layout>default</layout>
    変更後
    <layout>jp</layout>
  3. ibus をユーザ権限で再起動します。
    $ ibus-daemon -rdx

チェコ語のキーボードレイアウト

チェコ語文字の入力方法は、WindowsやMacの場合と同じです。
その他の記号等を入力する場合のために、以下にチェコ語のキーボードレイアウトを示します。
尚、キーボードレイアウトを表示するには、以下のコマンドを実行します(要 gkbd-capplet パッケージ):
$ gkbd-keyboard-display -l cz
コマンドラインオプションの "cz" の部分に ISO 3166-1 の国名コードを小文字で指定すると、他の国の言語のキーボード配列を表示させることが出来ます。
X上でのチェコ語キーボードレイアウト
このキーボードレイアウトに於いて、1つのキーに複数の文字(最も多いもので4つ)が割り当てられているものについては、それぞれの文字は以下の同時押しキーとの組み合わせで入力します:
上のキーレイアウトにおける、各キーの各印字位置の文字を入力するための同時押しキー
  印字位置
左側 右側
印字位置 上段 Shift 右Alt + Shift
下段 (なし) 右Alt

例えば、"c" のキーの場合、 と云った具合です。
チェコ語のキーボードレイアウトに於いては、右の Alt キーは AltGr というキーとなり、左 Alt キーとは機能が異なるので注意が必要です。
...ということで、こんなことが出来ます。
X上で直接チェコ語文字(Zdeněk Fibich Vítězslav Novák)を入力してみたところ。勿論Googleの検索文字入力にも使えます。

emacs でスペルチェッカーを使う

慣れないうちの打ち間違いはつきもの、ということで、スペルチェッカーを使います。
ここでは、ispellaspell の2つのスペルチェッカーについて触れます。
何れもデフォルトでは英語用になっていますが、チェコ語にも対応しているので、それが出来るようにします。
尚、ispellは開発が終了しており、現在は後継ソフトとしてaspellの開発が進められています。

スペルチェッカーを使う(ispell)

なのでaspellを使った方が良いとは思いますが、ひとまず覚書として。
大抵インストールされているとは思いますが、なければ入れます。
# apt-get install ispell
尚、チェコ語辞書はほぼ間違いなく入っていないので、入れます。
# apt-get install iczech
emacsから使いますが、特に設定は必要ないようです。
チェコ語の文書をemacsで開き、チェコ語でスペルチェックするにはispellを起動する前に
M-x: ispell-change-dictionary czech
とします。それから下記コマンドを実行すると、スペルチェックが始まります。
M-x: ispell
通常、ispellが正しくないと判断した単語に対して修正候補が列挙され、その中から正しいものの番号を選ぶと、その綴りで修正対象が置き換えられます。
主なコマンド
キー コマンド 説明
SPACE Accept the word this time only 単語を修正せず、次へ
i insert into private dictionary 単語を修正せず、その単語をユーザー辞書に追加する。
r replace word 単語を修正候補で修正せず、手動で修正する。
q Quit ispellを終了する。
C-h help helpを表示する。

スペルチェッカーを使う(aspell)

aspellは、前述のispellの後継ソフトです。 ispellと同じインターフェースを備えているため、ispellを呼び出すことの出来るアプリケーションでは、コマンド名を入れ替えるだけでaspellを呼び出すことが出来ます。
まずはインストールから。チェコ語辞書(aspell-cs)も一緒に入れます。
# apt-get install aspell aspell-cs
${HOME}/.emacs.d/init.el または ${HOME}/.emacs に、下記の設定が必要になります:
;; コマンドの設定
(setq ispell-program-name "aspell") ; ispell の代わりに aspell を使う
これで、ispellの代わりにaspellが呼び出されるようになります。
チェコ語の文書をemacsで開き、チェコ語でスペルチェックするにはaspell(呼び出しコマンド名はispellのまま)を起動する前に
M-x: ispell-change-dictionary cs
とします。→ ispellでは czech でしたが、 aspell では cs です。ISO 639に則っていると思えば理解しやすいかもしれません。
それからispellの場合と同様、下記コマンドを実行すると、aspellによるスペルチェックが始まります。
M-x: ispell
後の操作は、殆どispellと同様のようです。

LibreOffice でスペルチェッカーを使う

LibreOfficeに付属しているスペルチェッカーで、チェコ語のスペルチェックを行えます。
...とはいえ、やはりデフォルトのままでは辞書がないので、インストールします:
# apt-get install myspell-cs
あとはLibreOffice writer を起動し、チェコ語の書かれた文章を開くなり作るなりした後、スペルチェッカーを起動します。
自動スペルチェックが有効になっていると(デフォルトで有効になっている筈)、スペルミスと判定された単語の下に赤い波線が付けられます。但し、一部の単語の格変化形が誤ってスペルミスと判定される場合がありますが。
自動スペルチェックさせるには、
  1. LibreOffice Writer にて「メニュー」―「ツール」―「オプション」でオプションダイアログを起動
  2. オプションダイアログ左側のメニューから「言語設定」―「ドキュメントの標準言語」―「政要諸言語」で「チェコ語」を選択
  3. 同様に「言語設定」―「文章作成支援」―「使用出来る言語モジュール(A):」で「Hunspellスペルチェッカー」にチェックが入っていることを確認




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