作品紹介

「バガテル第1集」

Baatelles (Series I) for piano four hands, Op.19

作 曲:1870年7月28日 - 1877年10月
形 態:piano 4 ms
初 版:Fr. A. Urbanek, 1884 (U.196)
初 演:1884年12月17日(Praha, 2. koncert Mestanske)
    何故かVn + piano 2 ms の編成で演奏された。
    Violin: Ferdinand Lachner
献 呈:Jindrichovi of Kàanuv.

本作品の原題 [Malickosti] は「つまらない物・事」「些細な物・事」を表すチェコ語 "Malickost" の複数形。フランス語に由来する「バガテル」のチェコ語訳として採用したのだろう。

Fibichには、ピアノ連弾の為の2つのバガテル集(本作とOp.48)があり、本作はその第1集に相当する。《ピアノ連弾の為のソナタ》変ロ長調 Op.28 がそうであるように、本作品の存在もまた、Fibichが優れたピアノ連弾曲作家でもあったことを示している。
この作品を献呈されたインジヒ・カーン・ズ・アルベストゥー [Jindrich Kaan z Albestu] はハンガリー貴族出身の作曲家で、プラハで活躍した。 FibichDvorak, Foerster 等と一緒に写真に収まったりもしているなど、親交のあった様子が伺える。
曲目は以下の通り:

  1. Valcik(ワルツ)
  2. 1001 noc(一千一夜(物語))
  3. * * *
  4. Rococco (Gavotte)(ガヴォット)

第1曲の「ワルツ」は、幾分大胆な不要和音を用いた、退廃的な雰囲気を持つ音楽。バスに与えられた装飾音の響きも洒落ていて面白い。

第3曲の奇妙なタイトルに就いては、初版の楽譜では"* * *"と記されているが、ZDENEK FIBICH TEMATICKY KATALOGでは、"xXx"と表記されている。後者の方が正しいとすると、「ローマ数字の30」と想像することも可能だが、恐らくそういう意味ではあるまい。
チェコの書籍(例えば"ZDENEK FIBICH SBORNIK DOKUMENTU A STUDII"等)では、章の区切りに " * "" * * * " というのが用いられる場合があることから、転じて暗に《間奏曲》であることを示唆したのかも知れない(但し、これは飽くまで推測の域を出ない)。実際この曲は、曲集中における緩徐楽章的な役割を担っている。
尚、カール・ルートヴィヒ・リヒター [Carl Ludwig Richter] は、「限りなく優しい、題名のない変イ長調の歌」 einen unendlich zarten Gesang ohne Namen in As-dur (*) と述べており、「題名なし」と捉えている。

第4曲《Rococco (Gavotte)》は、オルゴール風な音楽だが、その愛らしい楽想が非常に印象的である。
そのピアノ独奏版が、同じ年に書かれた、ピアノ独奏の為の《組曲》ト短調(遺作)の終曲《Gavotte》にもなっている。

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