Discs...

[交響曲・管弦楽] [ピアノ] [オペラ] [声楽] [室内楽]

交響曲・管弦楽

ZDENEK FIBICH
Othello, Toman & the Woodsprite, Impressions from the country
[CLASSICD / CLASSICD 255]
Carlsbad Symphony Orchestra
Douglas Bostock, Conductor


INHALT
  1. Fibich / Toman & the woodsprite, Symphonic poem, Op.49
  2. Fibich / Othello, Symphonic poem, Op.6
  3. Fibich / Impressions from the countryside, Suite for Orchestra, Op.54
"Othello" は、このディスクが世界初録音である。
"Impression from the countryside" は、素朴な味わいのある音楽だが、このディスク以外ではなかなか聴くことが出来ない。

Spring / Romance of Spring / Twilight / Karlstein
[SUPRAPHON / SU 3197-2 931]
NA羨 甍RMOV -soprano, KAREL PR瓣 -bass
PRAGUE DADIO CHORUS
MILAN MAL , Chorus master
PRAGUE RADIO SYMPHONY ORCHESTRA
FRANTISEK VAJNAR, Conductor
Fibich の交響曲以外の管弦楽作品集。タイトルの通り、「春」,管弦楽のための牧歌「黄昏」,「春のロマンス」,そして「カルルシュテインの夜」が収録されている。

このディスクに収められている作品は、Fibich の交響曲以外の管弦楽作品の中でも代表的なものであると言って良いだろう。特に「黄昏」はFibichの作品の中でも最も知られた旋律を用いた作品であり、また「カルルシュテインの夜」は、Fibichが作曲したソナタ形式の管弦楽作品として、交響曲以上に成功したと評されることもある。
演奏の方も好演であり、もし、初めてFibichの管弦楽作品を聴こうとするのであれば、お薦めの1枚である。

ちなみに筆者がFibichの音楽に嵌まり込むきっかけとなったのは、本ディスクの「黄昏」Op.39を放送したNHK-FMのクラシック音楽番組であった。

FIBICH Symphoniy No.1 in F major
SMETANA Vysehrad, Vltava from 'Ma Vlast'
[CHANDOS / CHAN 9230]
Detroit Symphony Orchestra
Neeme Jaelvi, Conductor
スメタナの「我が祖国」(からの2曲)とのカップリング。
交響曲については、このディスクと同じ演奏で全3曲がセットになったもの[CHANDOS / CHAN 9682]も、同レーベルから発売されている。

FIBICH Symphonies
No.2 in E flat major
No.3 in E minor
[CHANDOS / CHAN 9328]
Detroit Symphony Orchestra
Neeme Jaelvi, Conductor
交響曲第2番は、管弦楽のための牧歌《黄昏》より1つ先に公にされた作品ながら、、雰囲気はまったく違っている。それだけ多彩に音色を使い分けられたのか、それとも「交響曲」という形式を意識してそうなったのか?
この点、ある意味では非常に興味深い。
とにかく、詩的な交響詩(をっとっと^^;)などの作品との極端なまでの違いが面白い。 演奏についてだが、この盤は決して悪くない。ただ、音色が如何にもアメリカのオケといった感じで、かなり明るいのが特徴的である。

Zdenek FIBICH
Symphonies Nos.1 and 2
[NAXOS / 8.553699]
Razumovsky Symphony Orchestra
Andrew Mogrelia, Conductor
Detroit / Jaelvi の演奏と比べると、かなり音色が暗い(中音域の楽器群のせいだろうか?)。そして重たい感じも。しかし、逆にいうと、Detroitの音色が明るすぎるのかもしれないが。

ZDENEK FIBICH
[ORFEO / C 350 951 A]
Tschechische Philharmonie
Gerd Albrecht, Conductor

INHALT
  1. Fibich / Toman a lesni panna / Toman und die Waldnzmphe, Op.49
  2. Fibich / Boure, Op.46 / Der Sturm, Op.46
  3. Fibich / Symphonie No.3 e-moll, Op.53
Symphonie No.3
Jaelvi / Detroit の演奏と比べて、作為的というか、かなりのクセが感じられる。特に第2楽章の冒頭などにおいて。
Mogrelia / Razumovskyほどではないが、やはり暗めの音色で奏でている。しかし響きは非常に豊かな印象だ。
ここまでの4枚中、敢えて交響曲の推奨盤を1枚選ぶとしたら、これだろうと思う。

[SUPRAPHON / 11 1823-2 011]
Prague symphony orchestra
Vladimir Valek, Conductor

INHALT
  1. Fibich / Comenius, Festive Overture, Op.34
  2. Fibich / Zaboj, Slavoj and Lud?k, Symphonic Poem
    after the Dvur Kralove Manuscript, Op.37
  3. Fibich / Toman and the Wood Nymph, Szmphonic Poem
    after the Ballad by Frantisek Ladislav Celakovsky, Op.49
  4. Fibich / The Fall of Arkona, Opera Overture, Op.60


ピアノ

SONGS OF WINTER NIGHTS
[SUPRAPHON / SU 3016-2 131] Marian Lapsansky, pianist

INHALT
  1. Novak / Songs of Winter Nights, Op.30
  2. Foerster / Dreaming, Op.47
  3. Fibich / Two Scherzos, Op.4
  4. Janacek / Intimate Sketches
  5. Janacek / Moravian Dances
「冬の夜の歌」という詩的なタイトルは、冒頭のノヴァーク[Novak, V.]の作品から取ったものである。
前半にはNovak, Foersterによる詩的な雰囲気の作品、後半にはFibich,Janacekによる、前半とは異なった雰囲気を持つ作品で構成されていて、あたかもこのCD全体で「幻想から現実へ」というテーマを持っているかのようだ。
Fibichの「2つのスケルツォ」を聴くために買ったディスクだったが、それよりもNovak等の作品が光る1枚だった。私にとっては、Fibichをダシにして、新たな興味深い作曲家たちに出会うきっかけとなる1枚になった(笑)。
Novak, Janacekは日本ではあまり聴かれない作曲家だし、Foersterに至っては、このCDで初めて作品を聴いた、という感じであったが、それぞれの音楽に看過できない魅力を感じた。
Fibichのピアノ作品の音源を追い求めてると、やはり手許には録音を数多く出しているピアニストの演奏が増えてしまうものである。このページでLapsanskyの録音が数多く紹介されているのもそういった理由によるものである。彼のFibich作品の演奏に関しては、人によって結構はっきりと好き嫌いが分かれるような気がしているのだが、このディスクのラプシャンスキーの演奏は大変良かったと思う。Fibichについてというよりむしろ、Novak, Foersterに関してはと言うべきではあるが。
何れにせよ、チェコのピアノ音楽の魅力にあふれた1枚と感じられた。


Songs of Winter Nights, Op.30
Novakの作品。「月夜の歌」「嵐の夜の歌」「クリスマスの夜の歌」「カーニバルの夜の歌」の4曲からなる。ラヴェルを思わせるような分散和音や不協和音の扱いも所々に見られるが、音楽が流暢に流れすぎないところはやはりスラヴの作曲家の作品らしい。といったら言い過ぎだろうか?
何れにせよ、Novakのこうした作風の作品は、「チェコにおける印象主義音楽」といわれている。
静寂に支配された雪景色を照らして静かに輝く月を想起させる第1曲。続く第2曲は、反対にその静寂を破る、嵐のようなような楽句で始まる、激しい音楽。それが唐突な終り方をして生まれた空虚な静寂から、仄かに浮かび上がるようにして、第3曲が始まる。第3曲で取り戻された静寂は、第4曲によって再び打ち破られる。
いずれの曲も、雪化粧をした夜の幻想的な情景が目に浮かぶような、詩的な作品である。また、各曲の配置も非常に効果的になされていて、曲集全体としての構成が巧みである点も看過出来ない。

Dreaming, Op.47
Foersterの作風をこの1作品のみでは判断できないだろうが、少なくともこれはロマン派的な作品であり、耳に馴染みやすい音楽である。夢現のような第1曲と、どこかで聴いたことのあるような、何となく懐かしさを感じさせられる旋律を持っている第2〜5曲からなる。

Two Scherzos, Op.4
Fibich 16歳頃の作品で、作品1の"Albumblaetter"作曲の翌年に書かれている。そのせいか、若書きの印象は拭えない。
このCDのなかでは、ちょっと異色の存在である。そもそも、なぜこのディスクに、テーマの合わないこの作品が入っているのかが良く理解できない(苦笑)。が、Novak, Foersterと続いた後に出てくることで、以降に続くJanacekが聴き易くなっているのは否めない(笑)。
#ということは、単なる「口直し」だったんだろうか。。。。

Janacekの2作品も捨て置きがたい魅力のあるものだが、曲数も多いため、ここではとりあえず割愛する。

ROMANTIC SONATAS FOR PIANO DUET
[MERIDIAN / CDE 84237]
Anthony Goldstone and Caroline Clemmow, pianist

INHALT
  1. IGNAZ MOSCHELES / Grande Sonate in E flat major, Op.47
  2. ZDENEK FIBICH / Sonata in B flat major, Op.28
  3. HERMANN GOETZ / Sonata in G minor, Op.17
ロマン派・国民楽派の時代の作曲家のピアノ連弾のソナタが3曲収録されているが、何れも珍しい選曲となっている。
Fibich 以外にも、Goetzの作品は、ほの暗いロマンティシズム漂う、類稀な佳曲である。 Fibich のソナタが「幸福感漂う美しい黄昏」というイメージとするなら、Goetzの作品のもつそれは、その対極にあるといえる。
余談であるが、Fibich は、ライプツィヒでの学生時代、Moscheles にピアノを師事している。
このディスクは、ピアノ連弾作品の情報源として高名な《楽しい連弾の部屋》 「今週の1枚」でも高い評価を得ている。

Sonata in B flat major, Op.28
数少ない Fibich のピアノソナタで、彼の作品の中でも、特に魅力的な音楽の1つと言って良いだろう。
第3楽章は、思いの外速いテンポであったが、本来楽譜には"Allegretto vivo" とあるので、実はこれが妥当なテンポなのだろう。この楽章は厭らしく弾こうと思えば、結構厭らしい音楽になるのだが、このデュオは、作品の魅力を損なわず、表情豊かに、且つすっきりと纏めている。 第3楽章は、思いの外速いテンポであったが、本来楽譜には"Allegretto vivo" とあるので、実はこれが妥当なテンポなのだろう。この楽章は厭らしく弾こうと思えば、結構厭らしい音楽になるのだが、このデュオは、作品の魅力を損なわず、表情豊かに、且つすっきりと纏めている。

Moods, Impressions and Survenirs, Op.41
[CHANDOS / CHAN 9381]
William Howard, pianist
私が初めて購入した Fibich 作品のCD。 Op.41自体は全4巻から成り、このディスクでは、その各巻の中から8〜11曲づつ抜粋して1枚のディスクに収めている。
演奏自体は品性を損なわぬよう配慮がなされていると思うし、74分以内というメディアの制限の中で、選曲もいい線を行っていると思う。また、人によっては、後に挙げたラプシャンスキーよりもこちらの方が聴きやすい演奏だろう。

No.44: Andante
このCDでは1曲目に収録されているが、楽譜では第1巻の終曲として収録されているものである。しかし、オープニングに相応しい雰囲気を持っており、選曲者のセンスが感じられる。

No. 4: Vivace
北欧音楽を思わせる、軽快で透き通るような響きを持っており、主題は曖昧なリズムで開始される。短いが、整ったロンド形式で書かれている。

No.36: Andante amoroso
静かに奏でられる左手の和音に、右手の2声がカノンのように掛け合う、しっとりとした曲。amoroso の表情指示、まさにそのまま。

No.134: A la polka
ポルカ。
オクターヴで跳躍する左手の5度に乗って、澄んだ響きを持つ。トリオの中間部は右手の左右を激しく跳躍する左手と、歌い続ける右手の旋律が対照的。

No.139: Lento molto cantabile
管弦楽のための牧歌「黄昏」Op.39の中間部の旋律による。これをヴァイオリニストのヤン・クベリーク(指揮者のラファエル・クベリークの父)が「詩曲」の名でヴァイオリン曲に編曲したことより、有名になったという経緯がある。 Fibich 作品の中でも特によく知られたロマンティックで美しい作品。 「黄昏」をそのままピアノ譜に置き換えたのと殆ど変わらないが、それでもピアノ曲らしい味付けがなされている。

No.161: Andantino
三部形式のメヌエット風な作品であるが、曲が描いているものは「アルプスへの旅行」であるという。
おそらく、旅行中の心弾む様子を描いたのだろう。

300 LET S KLAVIRE
[AMU / HF 0005-2131]
Vojtech Spurny, Hanus Barton, Jan Panenka, karel Friesl, Jan Novotny, Tomas Visek, Frantisek Kuda, Miroslav Langer, Karel Reiner, pianists

INHALT
  1. J. Haydn / Sonata in C, Hob.XVI:48
  2. V. J. Tomasek / Eglogue XXV
  3. J. V. H. Vorisek / Le Desir; Op.3
  4. F. Liszt / Hussitenlied nach der Melodie von Josef Krov
  5. B. Smetana / Louisina polka
  6. B. Smetana / Jirinkova polka
  7. B. Smetana / Ze studentskeho zivota
  8. B. Smetana / Vzpominka na Plzen
  9. B. Smetana / Polka Fis dur, Op.7 (?.1)
  10. Z. Fibich / Nalady, dojmy, upominky, Nr.65, 193, 139 & 281
  11. A. Dvorak / Humoreska Ges dur, Op.101-7
  12. A. Haba / Fantasie, Op.31-10
  13. J. Jezek / Tempo di Polka
企画物なのか、かなり風変わりな内容の1枚である。「ピアノと300年」というそのタイトルの通り、1799年Johan Jacob Seydel (Wien)製のハンマーフリューゲルに始まり、1927〜1928年の間にSteinway & Sons (New York)が製作したBaby Grand に至るまでの各時代に作られた10台のピアノ(及びその前身)を用い、夫々の時代に活躍した作曲家の作品を収録している。
尚、チェコのCDなので、当然のように(?)収録されている作曲家も、HaydnとLiszt以外は全てチェコ人となっている。
特に変わっているのは、August Foester製の2段鍵盤ピアノ(というより、2階建てピアノという方がイメージとしてピッタリである・・・笑)を微分音程で調律して演奏した、HabaFantasie, Op.13 であろう。
Fibichの作品は、Moods, Impressions and Reminiscenses, Op.41 から、No.65, 193, 139, 281 の4曲が収録されている

Moods, Impressions and Reminiscenses
[SUPRAPHON / SU 0188-2 131 ]
Marian LAPSANSKY, pianist
Op.41の楽譜の出版元と同名のSUPRAPHON社刊行のCDで、Op.41からOp.57までの全曲が既にこのシリーズで刊行されている。ラプシャンスキーはこのシリーズを全て一人で弾いているが、全て質の高い演奏で一聴の価値がある。
上記のOp.41のディスクとはタイトルの英訳が若干変わってはいるが、原語に直すと一緒になるようだ。
ラプシャンスキーの弾くこのシリーズ全般について少し述べてみる。前述のハワードと比べると、ポルカなどで耳に付く強烈なアクセント,やや極端な強弱の付け方など、やや田舎じみた風情がある。こういう弾き方は伝統的なチェコのピアニズムなのだろうか? 機会があったら調べてみたいと思う。
 しかし、このシリーズで全曲を聴いてみると、上記のハワードのCDのように抜粋してしまうのがもったいないくらい、佳曲が多いと感じた。

Op.41の 第1巻にあたる、Images (No.1〜44)が収録されている。

Moods, Impressions and Reminiscenses Vol.II
[SUPRAPHON / SU 0189-2 131 ]
Marian LAPSANSKY, pianist
Op.41の 第2巻にあたる、Impressions, Part I(No.45〜85)が収録されている。

No.53: Lento
この曲は、第3交響曲の第2楽章(この楽章の素材は、他の作品からも引用されている)の一部としても使われた。
交響曲で引用された部分も美しく印象に残る個所であるが、ピアノでも聴ける、「素材の良さ」のようなものがあるのだろう。
通常、3拍子の曲は4小節単位で一区切りの構造になっている場合が多いのだが、この曲の場合、それが5小節や6小節単位となっている。かといって、単純に「大きな」6拍子で構成されているわけでもない。聴いていると、何となく流されてしまうような感じがする。
しかし、常にどこかの声部で奏されている主題が、この曲の印象を散漫なものにしないために一役買っている。

Moods, Impressions and Reminiscenses Vol.III
[SUPRAPHON / SU 0190-2 131 ]
Marian LAPSANSKY, pianist
Op.41の第3巻 Impressions, Part II(No.86〜125)が収録されている。



Moods, Impressions and Reminiscenses Vol.IV
[SUPRAPHON / SU 0191-2 131 ]
Marian LAPSANSKY, pianist
Op.41の第4巻 Reminiscences(126〜171曲目)が収録されている。

Op.41の楽譜の出版元と同名のSUPRAPHON社刊行のCDで、実はOp.41からOp.57までの全曲が既に刊行されており、日本国内でも出回っていた一時期(1998年後頃)に入手した。ラプシャンスキーはこのシリーズを全て一人で弾いている。
上記のOp.41のディスクとはタイトルが若干変わってはいるが、原語に直すと一緒になるようだ。

ラプシャンスキーの弾くこのシリーズ全般について少し述べてみる。前述のハワードと比べると、ポルカなどで耳に付く強烈なアクセント,やや極端な強弱の付け方など、やや田舎じみた風情がある。こういう弾き方は伝統的なチェコのピアニズムなのだろうか? 機会があったら調べてみたいと思う。
 しかし、このシリーズで全曲を聴いてみると、上記のハワードのCDのように抜粋してしまうのがもったいないくらい、佳曲が多いと感じた。

No.151: Molto moderato e espressivo
この曲の冒頭は、現代のEasy listening系の音楽を先取りしたかのような響きを持っている。19世紀後半の当時としては、かなり風変わりだったのではないだろうか。

No.153: Lento
変ロ短調の陰鬱とした曲調で始まり、演劇か何かのBGMを思わせるような雰囲気が暫く続く。
終盤は同主異調へ転調し、一瞬《ピアノ五重奏曲Op.42》の第2楽章と第4楽章の終わりに使われたフレーズが現れる。


Moods, Impressions and Reminiscenses Vol.V
[SUPRAPHON / SU 3248-2 131]
Marian LAPSANSKY, pianist
Op.44のNovelette Chapter1-3 (172〜194曲目) が収録されていて、これらは曲集のなかでも比較的ドイツ・ロマンの薫りを感じられるものが多い。

No.180: Moderato assai
[A-B-A]-C(経過部)-[D-E-D]-F(= A')の四部構成。 2つ、あるいは3つの情景を物語的に描いているような、そんな感じがする曲。
前半は静謐な雰囲気を持つ短調の音楽だが、曲が進むにつれて動的な音楽に変質していく。

No.187: Lento non troppo
ノクターン風のゆったりした曲。

No.189: Lento
さして変哲のないロンド形式で書かれているが、曲の展開に詩的な拡がりを感じさせる。

Moods, Impressions and Reminiscenses Vol.VI
[SUPRAPHON / SU 3249-2 131 ]
Marian LAPSANSKY, pianist
Op.44のNovelette(Conclusion)(195〜204曲目)及びOp.47のMoods, Part I (205〜230曲目)が収録されている。

No.208: Confuoco, Op.47-4
交響曲第2番の第3楽章冒頭主題を引用している。

Moods, Impressions and Reminiscenses Vol.VII
[SUPRAPHON / SU 3250-2 131]
Marian LAPSANSKY, pianist
Op.47のMoods,Part II(231〜248曲目)及びMoods,Part III(249〜259曲目)が収録されている。
地味ながら味わいのある作品が多い。

No.231: Andantino, Op.47-27
詩的な雰囲気の美しい作品。

No.232: Andante, Op.47-28
3連符の上をメランコリックな旋律が流れる。

No.238: Andante, Op.47-34
「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ニ長調(1876)」の第2楽章を元にして書かれている。

No.239: Andante, Op.47-35
場面展開に優れたFibichのオペラ作曲家らしい一面が窺える一曲とは云えないだろうか。

No.247: Andante, Op.47-43
「ストッキング」を表現した曲であるという。
ゆったりしたテンポの何でもないような曲に聞こえるが、一部を除いて四声になっており、弾いてみると案外ややこしい運指が要求されることに気付かされる。

No.249: Moderato, Op.47-45
第三部《気分》の冒頭の曲。終始静かでしっとりとした雰囲気をもつ。
後半は、ゆったりとした雨音のようなトレモロの下で主題が静かに奏でられる。

No.250: Allegro moderato, Op.47-46
特に表記はないが、ワルツ風の曲。
チェコ的な要素は感じられず、むしろウインナワルツ的な雰囲気である。この当時のチェコ人ではFibichのみに可能な芸当であったろう。知らない人が「シュトラウスやブラームスと親交のあったドイツの作曲家が書いた」と聞けば騙されてしまうかも知れない。

No.251: Alla polka, Op.47-47
何事もないかのように弾かれているが、No.365と同様で、細かい音符で三度並行と六度並行が使われており、演奏の難しい曲。

Moods, Impressions and Reminiscenses Vol.VIII
[SUPRAPHON / SU 3251-2 131]
Marian LAPSANSKY, pianist
Op.47のMoods,Part IV(260〜271曲目)及びImpressions,Part I(272〜284曲目)が収録されている。

No.260: Andante, Op.47-56
いかにも Fibich らしい、詩的な雰囲気の美しい作品。

No.263: Vivace, Op.47-59
「フリアント」というチェコの民族舞踊のリズム(楽譜上では終始3/4拍子で書かれているが、実際には2+2+2+3+3、の変拍子になっている)で書かれている。後半は変奏曲風に冒頭部が再現される。ロンドというにはエピソード句が1つ足りず、むしろ「コーダ付き三部形式」といったところ。

Moods, Impressions and Reminiscenses Vol.IX
[SUPRAPHON / SU 3252-2 131]
Marian LAPSANSKY, pianist
Op.47のImpressions, Part II(285〜302曲目)及びImpressions, Part III(303〜313曲目)が収録されている。


Moods, Impressions and Reminiscenses Vol.X
[SUPRAPHON / SU 3253-2 131]
Marian LAPSANSKY, pianist
Op.47のImpressions,Part IV(110〜126曲目)及びReminiscences,Part I(127〜134曲目)が収録されている。

No.319: Grazioso alla Polka
“Grazioso alla Polka”とあるが、スケルツォのような、ちょっとおどけた雰囲気もある。

Moods, Impressions and Reminiscenses Vol.XI
[SUPRAPHON / SU 3254-2 131]
Marian LAPSANSKY, pianist
Op.47のPart II(136〜148曲目)及びOp.57のPart I(1〜7曲目)が収録されている。

No.342: Andantino
Fibich の生家」を描いた曲であるらしい。
牧歌的で、穏やかな情景が描かれている。

No.345: Larghetto
Anezka の生まれた日」を描いた曲。

No.349: Tempo de la Polacca
ポラッカ・・・つまり、ポロネーズ。
わりと軽快な雰囲気の舞曲で、親しみやすい。
この曲は、「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ニ長調(1876)」の終楽章を元にして書かれている。

No.352: Moderato.
A-B-A-Coda(=B') の形式をとる、ノクターン風の作品。
オペラ《シャールカ》[Sarka, Op.51]から引用されたBの部分は特に美しい。

No.355: Andantino
いわゆる「田園曲」のスタイルではないが、田園的な美しい情景を思い起こさせるような作品。

No.356: Moderato, poco con moto
寂寥感の漂う単旋律の主題が提示された後、中低音部でコラール風の音楽が奏でられる。後半は鐘のモチーフのような楽句の後、冒頭の主題を1回再現して終る。
一部を除き、曲のほぼ全体が5(2+3)小節を基本として構成されている為、やや不安定な印象を受ける。

No.357: Quasi marciale
前の曲とは打って変わり、行進曲風の豪快な雰囲気の曲。フィビヒにしては珍しい曲想といえるかもしれない。ちょっと「壊れた」感じのする強烈な不協和音を大胆に使っており、強拍に与えられたアクセントが強烈な印象を与える。

No.358: Moderato
8小節の短い主題と15の変奏およびCodaからなっていて、途中で一度主題が回顧される形をとる。後半は派手な変奏曲が続き、最後は長調に転調した主題と、堂々としたカデンツからなるコーダで終わる。
変奏曲のスタイルは、性格変奏ではなく、作曲技法としてはそれほど凝った造りにはなっていないと思うが、聴く音楽としては面白い。

Moods, Impressions and Reminiscenses Vol.XII
[SUPRAPHON / SU 3255-2 131]
Marian LAPSANSKY, pianist
このディスクは、シリーズ最後の1枚。一連の「全曲演奏」の中では最も気に入っているもの。

No.365: Quasi Polka
曲集の中では、“Alla Polka”や“Quasi Polka”という標語がときどき出てくるが、これもその一つ。 Fibich のポルカ系の作品にはハズレがないような気がする。
この曲では、右手に常に3度並行が付きまとう。ピアノを弾く人が聴けば分かる通り、演奏はなかなか厄介なものがある。全体的にアクセントがきついため、なんだかマーチ風な感じがしなくもない。
Da Capo による三部形式をとる。

No.368: Alleglo con fuoco
ショパン風というか、リスト風というか、スクリアビン風というか・・・・・
ピアニスティック且つ激しい曲。後半はリストやスクリアビンを思わせるような派手な音楽となり、そのままCodaへ突進する。

No.370: Poco Allegretto e grazioso
3部形式で書かれている。第1部・第3部は気だるい雰囲気を持っている。

No.372: Come una marcia funeble
三部形式の葬送行進曲。暗く沈んだ葬送行進と、慰めるような優しい中間部の対比は、ショパンの作品と非常によく似た構成となっている(但し、第三部はDa Capo による)。半音階的進行を持つ絶望的なCodaは、最後には同主異調のF-durに落ち着き、悲しみの中にも安らぎを見出そうとしているかのようだ。葬送行進の部分では、やや単調な感じもするが、 Fibich らしい重厚で複雑な和声の響きに満ちている。
演奏時間はNo.358と共に、曲集中最も長いものの一つ。

No.375: Poco Allegretto
まるで蒸気機関車の車窓からの情景を描いたかのような曲。汽車の音を表すようなせわしないバッソ・オスティナートの上にゆったり流れる旋律は、車窓からの美しい風景と、さわやかな風を連想させる。美しい風景を眺めながらの汽車旅を楽しんでいるかのようだ。

No.376: Allegretto grazioso
最後の曲。長調ながら、どこか寂しげである。
思い出に浸りきっているかのようなこの曲を書いたとき、 Fibich はどんな時間を過ごしていたのだろう・・・・それにしても、曲はあまりに優しく、そして穏やかだ。
Zdenek Fibich / Piano Music
[Regis / RRC1221]
Radoslav Kvapil, piano

INHALT
  1. Fibich / from Moods, Impressions, Reminiscences
  2. Fibich / Studies of Paintings
Regis は復刻版CDを取り扱うイギリスのレーベル。主に活動停止したレーベルや、廃盤になった音源のライセンスを取得して、廉価版CDを制作している。が、意外と見過ごせに出来ぬものを出していて要注目のレーベルの1つと言っていい。
このディスクには、《気分・印象、そして追憶》から19曲、更に《絵画の練習曲》Op.56 [Studies of Paintings] の全5曲が収められている。
特に《絵画の練習曲》については、恐らくこのディスクでしか聴くことが出来ない。

Studies of Paintings
この曲集は、その名から想像出来る通り、5つの絵画作品に対する作曲者の印象を音楽で表現したものである(詳細はこちら)。
雑念を振り払って純粋に音楽だけを聴くと、前半2曲は大して面白くないかも知れない。が、この作品の背景にある絵に予め接しておくことと、Fibichの本領が歌劇作家であることを思えば、それなりに理解も出来るのかも知れない。
第3曲は、Fibichのピアノ作品には珍しく多声音楽な要素もあって面白く聴ける。
尚、このディスクは単体でも入手できるが、"Czech Piano Anthology"というタイトルの4枚組ガジェットでも売られている。全て同じピアニストで、作品はFibich, Martinu, Smetana, Vorisekのものが収録されている。


オペラ

FIBICH / THE BRIDE OF MESSINA
[SUPRAPHON / 11 1492-2612]
PRAGUE RADIO CHORUS members
PRAGUE NATIONAL THEATRE CHORUS AND ORCHESTRA
MILAN MALY, Chorus master
FRANTISEK JILEK, Conductor

FIBICH / Sarka
[SUPRAPHON / SU 0036-2 612]
BRNO JANACEK CHORUS
JOSEF PANCIK, Chorus master
BRNO STATE PHILHARMONIC ORCHESTRA
JAN STYCH, conductor

Zdenek Fibich
Koncertni melodramy
[AMU / HF 0014-2212]
Otakar Brousek, Carmen Mayerova, Ijri Klen, recitation
Hradec Kralove, Philharmonic Orchestra
Oldrich Tyc, solo violinist
Frantisek Vajnar, conductor


INHALT
Fibich / Stedry den, Op.9
Fibich / Pomsta kvetin
Fibich / Vecnost, Op.14
Fibich / Vodnik, Op.15
Fibich / Kralovna Ema
Fibich / Hakon, Op.30
"Melodrama" というのは日本のTVでやっているようなものでは勿論なく、「音楽を伴なった朗読」といえる形態のものである。Fibichは、当時途絶えていたこの伝統的な形式を復興したという功績の持ち主であるが、その成果がこのディスクには収められている。


声楽

Gratia Musa tibi
[ULTRAPHON / UP 0023-2 131]
Lea Vitkova, soprano
Romana Pavkova, soprano
Petra Kostkova, soprano
Pavla Zborilova,contraalto
Petr Julicek, tenor
Tomas Krejci, bass
Czech Philharmonic Chorus of Bruno
Josef PANCIK, Chorus master
Petr FIALA, conductor


INHALT
Fiala / Gratia Musa tibi
Vivaldi / Gloria, RV589
Schubert / Messe Nr.2 G Dur, D.167
Fibich / Missa Brevis, Op.21
バロック、前期ロマン、国民楽派(時期的には後期ロマンと重なる)、更に現代の作品という、かなり珍しい組み合わせになっているが、「宗教音楽」ということでテーマ性が与えられているのだろう。
Gratia Musa tibi の作曲者・Fiala が、このディスクに収められた演奏で指揮を執っている。
Brevisという単語は、ネウマ譜の音符の名前にも使われていて、「小さい」という意味を持っている。従って、"Missa Brevis" とは、その名の通り「小ミサ曲」と解せば良い(尤も、合唱の世界ではそのまま「ミサ・ブレヴィス」と呼ばれているようであるが)。
通常のMissa Brevisでは、Kyrie, Gloria, Credo, Sanctus, Benedictus, Agnus Deiの6曲から成るのが通常の構成であるが、Fibichのこの作品は、Agnus Deiの歌詞の最後の1行を独立させ、Dona Nobis Pacemを1つの曲として作曲されている。

EROTIKON
[PHANTON / 81 9008-2 231]
Zdena Kloubova, soprano
Vera Muellerova


INHALT
Dvorak / Love Songs, Op.83
Foerster / Erotikon, Op.24
Fibich / Six Songs, Op.12
Foerster / Love Songs, Op.96
Novak / Erotikon, Op.46


室内楽

PRAGUE SPIRIT QUINTET
  BOHEMIAN DREAM
[NIPPON CROWN / CRCL-5024]
PRAGUE SPIRIT QUINTET
チェコの作曲家による弦楽四重奏の小品を集めたCD。
国内で刊行されているという点は、この手の作品を収録したディスクとしては珍しいのではないだろうか。
Fibich の作品では、「詩曲」の弦楽四重奏版(どういう訳か、この曲だけ2テイク収録されている)と、ポルカ「樫の木の下で」が収録されている。
「詩曲」には、原曲にはなかったはずの繰り返しが追加されているが、これは彼らの遊び心であろう。
ほかには、J.イエツェク,ドヴォジャーク等の作品から、割とノリのいい作品が集められている。クラシックでありながら、ポピュラー音楽っぽい雰囲気のある1枚。

Zdenek Fibich
Quartetto Op.11, Quintetto Op.42
[PANTON / 81 1425-2131]
Suk Quartet
Radoslav Kvapil, pianist
Quartetto in e, Op.11
Fibich の出世作と云われているが、一聴の価値があるだろう。
スラヴ的な情感、ドイツ・ロマンの様式を消化した書法・・・将にFibichらしさが覗えるこの曲の作風は、2年前に書かれた《ピアノ三重奏曲へ短調》に共通するものがある。

Quintetto in D, Op.42
このピアノ五重奏のオリジナル編成はVn,Cl,Hr,Vc,Pfであるが、作曲者自身によって2Vn,Va,Vc,Pf(所謂通常のピアノ五重奏の形態)の編成も認められているという。このディスクでは後者の編成で演奏されている。
第2楽章には後年《気分・印象、そして追憶》の中で何度か引用されることになる短い動機が含まれている。第4楽章の終わりには、第2楽章のCodaに用いられた楽句が、高揚を以って再現される。
下に掲げたディスク[MUSIKPRODUCTION DABRINGHAUS AND GRIMM/ MDG 304 0775-2]と比較すると、楽器編成故に音色の柔らかさに欠けるような印象が無くも無いが、しかしメリハリが利いていると取ることも出来るだろう。

Zdenek Fibich
[MUSIKPRODUCTION DABRINGHAUS AND GRIMM/ MDG 304 0775-2]
Ensenble Villa Musica
Ulf Rodenhauser, clarinet;   Radvan Vlatkovic, horn;   Ida Bieler, violin;   Enrique Santiago, viola;   Martin Ostereag, violincello;   Kalle Randalu, piano


INHALT
Fibich / Quartet, Op.11
Fibich / Quintet, Op.42
上のディスクと、曲目は同一である。但し、このディスクのピアノ五重奏は、この作品本来の編成である、木管楽器+弦楽器+ピアノの編成である。
演奏者には、Hornの名手・Vlatkovicも名を連ねている。
上のSuk Quartetと比べると、テンポが速目で、且つリズムがまるい感じがする。五重奏曲のフィナーレ冒頭等を聴き比べてみるると分かりやすいだろう。

Fibich Piano Quartet, Op.11 & Quintet, Op.42
[SUPRAPHON / SU 3487-2 131]
Marian Lapsansky, piano;   Ludmila Peterkova, clarinet;   Vladimira Klanska, french horn;   Jiri Panocha, violin;   Miroslav Sehnoutka, viola;   Jaroslav Kulhan, cello;  

INHALT
Fibich / Quartet, Op.11
Fibich / Quintet, Op.42
上のディスクとは、演奏者が異なるだけで、曲目と編成は同一である。
また、五重奏曲のフィナーレ冒頭の話を上のディスクでコメントしたが、このディスクでは更にテンポが速くなっていて、どちらかというとEnsenble Villa Musicaの方に雰囲気は近い。
全く同じ曲でも、楽器編成が違う為に、楽譜から作り出すべき音楽の表現法が微妙に違ってくるということであろうか。
管楽器の代わりに弦楽器を使用した版も、共に作曲者自らが認めた編成ではあるが、こういう違いが出てくるというのも興味深い。

BEETHOVEN, FIBICH & SUK & NOVAK, Piano Trios
[BONTON Music a. s. / 71 0534-2]
New Prague Trio

INHALT
Beethoven / Klaviertrio in D Dur, Op.70-1, "Geistertrio" (1808)
Fibich / Klaviertrio in f moll (1872)
Suk / Klaviertrio in c moll, Op.2 (1889)
Novak / Trio quasi una ballata in d moll, Op.27 (1902)
Klaviertrio in f moll (Fibich)
この作品は、Fibichがマンハイムでの最後の音楽修行を終えて2年が経ち、翌年にはルージェナとの結婚生活を始めようという頃の作品である。心なしか、前途洋々たる当時の作曲者の、気力の充実を感じなくもない。
第1楽章は重厚で、Fibichにしては意外に激しい(或いは、反抗的な)楽想を持っている。短調であることとも相俟って、なかなか渋い音楽になっている。
終楽章は、冒頭からいきなり長調で開始し、快活なうちに音楽が終る。
演奏の方は緊張感を以って楽想が引締められており、好印象を持てるものであった。
・・・「ピアノ三重奏」といえば、当然ながらピアノの他に2つの声部を独立に使える編成である。これがブラームスあたりであれば、それぞれの声部をもっと分かれているなりに使ったのであろうが、それにユニゾンを多用してしまうところが、Fibichらしいと言えば、Fibichらしいというところだろうか。
何れにせよ、和声・そして楽器に思う存分歌わせる旋律は、既にFibichならではのものが表れていると言って良いだろう。

Trio quasi una ballata in d moll, Op.27 (Novak)
単一楽章で書かれた、珍しいピアノ三重奏曲。演奏時間は約18分半とかなり長いが、堅固な構成と共にドラマティックな音楽の展開を持っていて、なかなか聴き応えのある作品である。作風は、ピアノ独奏の為の《英雄ソナタ Op.24》と同じ路線であり、Novak の「チェコにおける印象主義音楽」とは全く違った一面を垣間見ることができる。スラヴ的色彩の濃厚なロマン派的な内容といえる。 ちなみにこの作品を書いた頃のNovakは、師のDvorakから作品を悉く酷評されていた。
既に世界的な名声を得ていた師から受けた作品の評価は、Novakにとっては耐え難いものであったろう。この作品からは、そんな作曲者の苦悩する姿が滲み出ているとは言えないだろうか。

最後に少し、本ディスク全体のことに触れると、(作品のつくりが皆そうだからなのかも知れないが)ピアノとヴァイオリンが目立つが、チェロの音が後ろに隠れ気味である。チェロの音がもう少し表に出てきても良いような気もするのだが・・・

Fibich, Smetana, Dolezalovo kvarteto
[ARTA / Fl 0072-2]
Dolezalovo kvarteto

INHALT
Fibich / Tema und Variazioni B Dur
Fibich / Quartet G Dur, Op.8
Smetana / Quartet Nr.2 d moll
Tema und Variazioni B Dur (Fibich)
主題と9つの変奏曲(と、コーダ)からなる。原曲はピアノ曲だが、作曲者によってこの編成に編曲されたものである。

Quartet G Dur, Op.8 (Fibich)
1878年の作曲となっているが、曲想としては、これより6年程前に作曲された《ピアノ三重奏曲》(遺作)とほぼ同じ路線のようでもあるし、ずっと後の《ピアノ五重奏曲》Op.42に通ずるものがあるような印象もなくはない。しかしこれらと違っているのは、より民族的な色彩を感じさせることだろう。例えば第3楽章のスケルツォにポルカが取り入れられているし(とはいえ、ピアノ三重奏曲にはスケルツォ楽章自体が存在しないが)、第4楽章でも民族的な背景が影響しているような響きが楽章の冒頭から聞かれる。
ところで、弦楽四重奏曲のスケルツォ楽章にポルカを用いることはDvorakなどもやっているが、歴史的に一番最初の例は、Fibichがこれより前の1874年に書いた、A-Durであるそうだ。

しかし、ディスクのラベル面に"NOT FOR SALE"と書いてあるのは些か気になる。。。

Zdenek Fibich   WORKS FOR VIOLIN AND PIANO
[SUPRAPHON / SU 3473-2 131]
Josef Suk, violinist
Josef Hala, pianist


INHALT
Fibich / Sonatina for violin and piano, Op.27 (1869)
Fibich / Sonata in D major for violin and piano (1876)
Fibich / Romance for violin and piano, Op.10 (1879)
Fibich / Clear Night for violin and piano (1873)
Fibich / Song without Words for two violins and piano (1882)
Fibich / Concert Polonaise for violin and piano (1878)
チェコの老練な2人の演奏家による、非常に聴き易い作品ばかりで構成された1枚である。

CDにしては珍しく、ジャケットには使用した楽譜の出自までがきちんと記されている。それによると、使用されているのは、殆どは今はなきプラハのFr. A. Urbanek社のもので、「無言歌」には自筆譜を使用しているという。

ヴァイオリンを弾いている1929年生まれのJosef Sukは、チェコの2人の大作曲家のヨセフ・スークとアントニン・ドヴォジャークの直系の子孫(注:作曲家のスークは、恩師ドヴォジャークの娘・オティーリエと結婚している)である。
ピアノのJosef Halaは、プラハの芸術院を卒業。スーク・トリオと共に各国への演奏旅行も行っているという...などと書いているとキリがない(苦笑)。
スークのヴァイオリンは、色気よりも、音楽家としての良い意味での職人的な確かさが感じられ、非常に好感が持てた。
一方、ピアノの方はどちらかというとサロン向けなスタイルの印象。ラプシャンスキーと比べると、アクセントの扱い方に感じさせられる「田舎っぽさ(?)」のようなものはなく、優しいタッチのイメージのように聞えるが、実はその一方で激しくするところは存外容赦ない(笑)。尤も、「ピアノソロ」と「器楽との重奏のピアノ」では単純比較は出来ないが。
あまり「ピアノは伴奏」という印象はなく(こんなこと考えるのは日本人くらいなのかもしれないが.....)、純粋に「対等なアンサンブルとしての二重奏」といった雰囲気が楽しめる。
ただこのCD、曲数が多いために「盛りだくさん」な印象があるが、実際の録音時間は51分余りと、かなり短めである。演奏が素晴らしいだけに、余った時間でソナタか何かがもう1曲丸々入りそうなのに・・・と思うと、少し残念。

Sonata in D major for violin and piano (1876)
第1楽章の冒頭は、後年書かれたピアノ曲「気分・印象、そして追憶」の第253番(Op.47-49)の原型である。
第2楽章は、「気分・印象、そして追憶」の第238番(Op.47-34)の原型ほぼそのままである。
第4楽章は、Introduction. Adagioと記された6分余りの音楽である。第1楽章の冒頭が形を変えて現れる、約1分半の“Introduction”の後、軽快なポロネーズに変わる。このポロネーズの部分は、これもピアノ曲「気分・印象、そして追憶」の第349番(Op.47-119)の基になっている。Op.47-119の方は国内版楽譜にも収録されているので、割と知られるようになっているだろうが、原曲がこちらだということまでは余り知られていないだろう。
尚、全く何でもないように聞こえる演奏だが、実はポロネーズの序奏部分は、冒頭から両パート共に小節頭に音がないという、恐ろしく難しい譜面になっている。
→作品について

Song without Words for two violins and piano
「2つのヴァイオリンとピアノのための無言歌」という日本語訳になろう。
この作品のオリジナルの編成はヴァイオリンが2本使われることになっているのだが、これをしばしば一人の奏者で演奏することがあるらしい。このCDのジャケットにはもう一人のヴァイオリン奏者の名が見当たらないことから、この演奏では、スークが一人でヴァイオリンパートを担当しているのであろうと思われる。
メンデルスゾーンの有名な無言歌とは雰囲気は異なるが、タイトルの通り、2つのヴァイオリンの旋律は情感豊かに歌い上げられている、非常に美しい作品。僅か2分余りの短い作品ながら、このディスクの白眉といえよう。
ソナタなどのような構成が云々されるような音楽より、この曲のように切々と歌い上げるような性格的な小品の方が、 Fibich の本領が発揮されているといえるだろう。
尚、録音には自筆譜が使われている。

Concert Polonaise for violin and piano
このディスクの最後の締めくくりは、堂々とした雰囲気のこの作品。
Chopinのピアノ曲でも知られている通り、Polonaiseとはポーランドの民族舞曲。これを同じスラヴ系のFibichは、ややゆったりとしたテンポの、舞曲というよりはむしろ、歌い込む種類の音楽に仕上げている。




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