Fibichには、ピアノ連弾の為の2つのバガテル集(本作とOp.48)があり、本作はその第1集に相当する。《ピアノ連弾の為のソナタ》変ロ長調 Op.28 がそうであるように、本作品の存在もまた、Fibichが優れたピアノ連弾曲作家でもあったことを示している。
曲目は以下の通り:
第1曲の「ワルツ」は、幾分大胆な不協和音を用いた、退廃的な雰囲気を持つ音楽。バスに与えられた装飾音の響きも洒落ていて面白い。
第3曲の奇妙なタイトルに就いては、初版の楽譜では"* * *"と記されているが、ZDENĚK FIBICH THEMATICKÝ KATALOGでは、"xXx"と表記されている。後者の方が正しいとすると、「ローマ数字の30」と想像することも可能だが、恐らくそういう意味ではあるまい。
チェコの書籍(例えば"ZDĚNEK FIBICH SBORNÍK DOKUMENTŮ A STUDIÍ"等)では、章の区切りに " * " や " * * * " というのが用いられる場合があることから、転じて暗に《間奏曲》であることを示唆したのかも知れない(但し、これは飽くまで推測の域を出ない)。実際この曲は、曲集中における緩徐楽章的な役割を担っている。
尚、カール・ルートヴィヒ・リヒター [Carl Ludwig Richter] は、「限りなく優しい、題名のない変イ長調の歌」 einen unendlich zarten Gesang ohne Namen in As-dur
(*) と述べていることから、「題名なし」という意味かもしれない。
第4曲《Rococco (Gavotte)》は、オルゴール風な音楽だが、その愛らしい楽想が非常に印象的である。
そのピアノ独奏版が、同じ年に書かれた、ピアノ独奏の為の《組曲》ト短調(遺作)の終曲《Gavotte》にもなっている。