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Fibichやチェコ国民楽派を知るのに役に立ちそうな書籍・文献等を紹介。
通常入手可能なものを極力取り上げますが、蔵書に関しては絶版のものを取り上げることもあります。

書名:佐川吉男遺稿集3「チェコの音楽 - 作曲家とその作品」 NEW!!
著者:佐川吉男
出版:芸術現代社
ISBN:4-87463-175-4 C1073
故・佐川吉男氏(音楽評論家・日本マルチヌー協会前会長)の遺稿集全4巻のうちの1冊。佐川氏の活字化された文章(主にレコード、CDのライナーノート)を元に、チェコの主要作曲家とその作品に関する記述を纏めたもの。
チェコのバロック期から近代まで、世界的にも有名な作曲家は勿論、日本ではあまり名を知られていない作曲家も含め、20人のチェコ人作曲家とその作品を取り上げている。
Fibichに就いては23ページにわたって触れていて、「作曲者について」の項は、Fibichの音楽的人格を知るのに役に立つ。
「チェコにはどんな作曲家がいて、どんな作品を書いているか」を知るには、少なくとも和書では、これほど良い本はなかなかない。

書名:「チェコ音楽の歴史 - 民族の音の表徴」
著者:内藤久子
出版:音楽の友社
ISBN:4-276-13567-2 C1073
2002年2月28日に出版された新しい書籍で、中世から現代に至る、チェコの芸術音楽の発展の過程において、フォークロア(民間伝承)の受容と、芸術音楽の創造との関係を明らかにしている。
普通に手に入る、チェコ国民楽派とその周辺について触れた日本語文献としては、最も充実したものの1つではないだろうか。
内容的には、国民楽派誕生に至るまでの、民謡を含むチェコ音楽の概略を示し、次に、国民楽派の中からスメタナ、ドヴォジャーク、ヤナーチェクの3人の作品に焦点を当てている。
チェコ国民楽派の音楽の音楽的背景だけでなく、社会的・歴史的背景をも明らかにしている点で、非常に興味深い内容である。実際、読み進める過程でそうことを知ることにより、チェコ国民楽派の作品や作曲家達に対する視点が変わり、面白く読むことが出来る。
ただ、この本をきちんと理解して読むためにはそれなりの基礎知識が必要で、例えばスメタナ、ドヴォジャーク、ヤナーチェクについては、主要な作品の音源とスコアを一通り用意し、聴いておいた方が良い。

書名:「フィビヒ ピアノ作品集 [気分、印象と思い出]」
解説:関根日出男(解説)
出版:全音楽譜出版社
伊藤仁美氏校訂の楽譜であるが、Fibichの略歴を知るのに最も適当な解説が載っている。
Fibichの伝記として、国内で普通に手に入り、且つ日本語で書かれたものとしては、私が知る限り、これが一番良く纏まっている資料である。
この解説を執筆された関根氏は、日本におけるチェコ文化研究界の重鎮であり、また、日本マルチヌー協会会長、日本ヤナーチェク友の会顧問などの肩書きを持つ。日本語で書かれたチェコ関係の書物には、よく名前が載っている(だが、御本業は医師だそうだ)。

書名:「日本マルチヌー協会 第14回例会コンサート プログラム」
編集:日本マルチヌー協会
出版:
2000年11月12日、銀座クロイゾンホールで開かれた、日本マルチヌー協会の例会コンサートのプログラム。当然マルチヌーの作品を中心とした演奏会であるが、この回では、この年生誕150周年・没後100周年を記念して、Fibichの作品も取り上げられている。
Fibichの項は、やはり関根日出男氏によるものなので、上記の全音の楽譜の解説とほぼ同一内容である。この他、やはり当日取り上げられたNovák等についても、同様に解説が書かれていて、単なるプログラムの解説にしておくには勿体無いほどの内容であり、同協会の意識の高さも、同時に伝わってくる。

書名:「ドヴォルジャーク」
著者:クルト・ホノルカ
訳者:岡本 和子
出版:音楽の友社
ISBN:4-276-22154-0 C1073
Fibichの同時代の同業者・ドヴォルジャークの伝記本の邦訳である。チェコ国民楽派の音楽を理解するためには、チェコの政治的・歴史的背景を無視することは出来ないと思われる。そういった点で、同時代の同業者の人生を通してその時代背景を知るのは、さして無駄はないだろう。
この本は、ドヴォルジャークの伝記ではあるが、短い文章ながら、チェコ楽壇に於けるフィビヒの存在(国民楽派第3の巨匠として)の重要性を強調している。
ドヴォルジャークというと、その気難しい一面を強調されてしまう嫌いがあるそうだが、本書では、(彼の門下生である、スーク等の目から見た)敬愛すべき教師としての姿も描かれている。
読み物として楽しめる1冊。

書名:「チェコ音楽の魅力 スメタナ・ドヴォルジャーク・ヤナーチェク」
著者:内藤久子
出版:東洋書店
ISBN:978-4-88595-658-4
2007年1月刊行の書籍。Smetana, Dvořák, Janáčekの3人の作曲家を軸に論じる路線は、氏の前著「チェコ音楽の歴史 - 民族の音の表徴」と基本的に同じである。但し、本書は各人の年表的な基礎データから辿り、その作曲家としての姿を描くことにも紙面を割き、多くの基礎知識を読む前提として要求しない分、前著よりもより入門向けに構成されている。

書名:「東欧を知る事典」
監修:伊東孝之、直野敦、萩原直、南塚信吾、柴宜弘
出版:平凡社
ISBN:4-582-12630-8 C0522
ポーランド、チェコ、スロヴァキアをはじめ、東欧12カ国(実はチェコとスロヴァキアは中欧であるが、ここは『旧東側諸国』くらいの意味だろう)に関する事柄が纏められた事典。200人以上の専門家が執筆しただけあって、内容は充実している。各国の歴史・文化・政治・経済などの事柄を手際よく押さえたい時に役に立つ。

書名:「新版 プラハ幻景」
著者:ヴラスタ・チハーコヴァー [Vlasta Čiháková]
出版:新宿書房
ISBN:4-88008-187-6 C0026
1987年に刊行された「プラハ幻景」に、ビロード革命後のプラハについて書き加えられたものである。
著者は、日本に留学し、その後も長期に亘って日本に在住した経験がある美術評論家。
この本では、チェコの伝説、プラハの歴史を始め、「百塔の街」プラハの魅力を知ることが出来る。直接音楽の話にはならないが、「リブシェ」「シャールカ」など、チェコ国民楽派のオペラの題材にしばしば取り上げられた伝説等についても触れている。

書名:「正しい」デクラメーションに託された音楽的戦略
―オタカル・ホスチンスキー
『チェコ語の音楽的デクラメーションについて』の理念―
著者:中村 真
出版:北海道大学スラヴ研究センター
北海道大学スラヴ研究センターが発行している機関誌「スラヴ研究」51号に掲載の研究ノートで、 ネット上で公開されている。
オタカル・ホスチンスキー [Otakar Hostinský]Fibichと同時代のチェコの音楽学者。Fibichの亡くなった2日後に掲載された「国民新聞」のFibich追悼記事の執筆者でもある。
[文書を公開しているページ] [文書そのもの(PDFファイル)]

書名: 「民族復興期」の中欧チェコにおける民衆文化の成立と展開
著者:内藤久子
出版:鳥取大学地域学部
「チェコ音楽の歴史 - 民族の音の表徴」の著者でもある、鳥取大学地域学部・内藤久子教授の論文。
同学部のweb上で公開されている。
[文書を公開しているページ] [文書そのもの(PDFファイル)]

書名:ZDĚNEK FIBICH SBORNÍK DOKUMENTŮ A STUDIÍ (現在絶版?)
著者:
出版:ORBIS NÁRODONÍ HUDEBNÍ VYDAVATELSTVÍ PRAHA
Fibichに関する文献集。全2巻。全てチェコ語で書かれている。Fibich家の家系図、Fibichがやりとりした手紙、当時のNárodní listy紙やDALIBOR誌に掲載された寸評、それに個々の作品についての解説などが載っている。
文献としては、Fibichの弟子であり、後にチェコスロヴァキアの文化大臣となったZdeněk Nejedlýによるものからの引用が多い。
1951年の刊行で、現在は恐らく絶版になっているものと思われる。元はチェコ文化研究家・関根氏の所蔵であったものだが、日本マルチヌー協会の某T様より、特に経緯があって譲って頂いたもの(度々済みません。感謝です>T様)。

書名:ZDĚNEK FIBICH
著者:Jaroslav Jiránek
出版:AKADEMIE MÚZICKÝCH UMĚNÍ V PRAZE
ISBN:80-85883-51-1
チェコでしか手に入らない書籍ではないかと思うのだが、幸いなことに、日本マルチヌー協会の某T様より譲って頂いたため、手元にある書である。
前半は文章で、二十数頁の英文を除くと、殆ど全てチェコ語で書かれている。後半は譜例からなる構成である。写真出版元の名前から推察するに、どうも学術研究書の類のように思われる。書物の性質上そうなのか、amazon等で検索しても、サッパリ出て来ない。
著者のJiránek氏は、ピアニストのLapšanský氏がSupraphonから出しているFibichのCD "Moods, Impressions and Reminiscences"のシリーズで、ライナーノートを書いている人物でもある。

書名:ZDENĚK FIBICH THEMATICKÝ KATALOG
著者:VLADIMÍR HUDEC
出版:EDITIO BÄRENREITER PRAHA
ISBN:80-86385-10-8
Fibichの作品主題目録。
850頁にも及ぶ。Fibichの各作品に就いて、冒頭部数小節の譜面、作曲年、出版年などが記されており、作品によっては、他にも初演や注記などが付されている。
本書の最初の100頁余りは、伝記や作品一覧などが書かれているが、同じ内容がチェコ語・独語・英語の順で書かれているので、基本的にはこの3言語のうちどれかが読める人なら、書いてある内容を理解することが出来る。
また、Op.41-139を始め、ごく一部ではあるが、自筆譜のコピーも掲載されている。
なかなかの大著であるのだが、にも拘わらず、Op.58, Op.59に就いて一言も触れられていない。「グローヴ音楽辞典」等の作品リストでも触れられていない、この2作品の行方は・・・?

書名:FIBICHOVA ČÍTANKA (現在絶版?)
監修:Hubert Doležil
出版:Státní nakladatelství v Praze
ISBN:(記載なし)
直訳すると、≪Fibich読本≫となる。1930年にチェコスロヴァキア(当時)の国立出版社から刊行されたもの。かなり古い書籍なので、同じ内容のものは入手困難であるかも知れない。
中扉に "Uspořádal Hubert Doležil" とあるのは、監修者ということのようである。
タイトルから内容が想像し難いので、この資料については少々細かく記載する。
尚、内容は全てチェコ語。
12ページ程のチェコ語による文章の読解はそのうちに・・・
楽譜の部分が、ページ数ととしては比重が最も大きいのであるが、「薄く広く」作品を集めて掲載した感がある。作品は、ピアノ曲、室内楽、管弦楽、オペラ、ステージドラマ、声楽などから、時に抜粋の形で採られている。交響曲第2番の緩徐楽章(但し一部省略)のピアノ4手版のような、通常の手段で入手できそうにない楽譜も掲載されている点で貴重ではあるが、それらも曲の途中が端折ってあったりすることもある等、演奏用楽譜としてはあまり適当ではない。